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産地・郷土料理 · tohoku 体験記

いわきの常磐もの、という誇り。福島・浜通りで食べる鮃と地酒

「常磐もの」とは、福島・茨城沖で獲れる魚介類の総称だ。震災後の風評と戦いながら品質を守り続けてきた漁師たちがいる。その魚を食べに、いわきへ行った。

亀田英佑

2026年3月13日

ひとり度

★★★★☆

予算

夕食 8,000〜15,000円(地魚料理店の場合)

アクセス

JR常磐線 いわき駅から市内各方面へバス・タクシー

いわきの常磐もの、という誇り。福島・浜通りで食べる鮃と地酒

「常磐もの」という言葉を知っているか。

福島県と茨城県の沖合い、常磐沖で獲れる魚介類の総称だ。ヒラメ、アンコウ、カレイ、ウニ——潮の流れが複雑な海域で育つ魚は、脂の乗りが違うと漁師たちは言う。

2011年3月以降、この言葉は風評被害と一緒に語られることが増えた。それでも漁を続け、品質を高め、今も出荷し続けている人たちがいる。その魚を食べに、いわきへ行った。

いわきという街

いわきは広い。面積は東京都とほぼ同じで、海岸線から山まで多様な地形を持つ。観光地として整備された場所ではないが、それがかえって「来た人のための街」ではなく「住む人のための街」の空気を保っている。

市内には商店街もある。スパリゾートハワイアンズという温泉施設もある。だが目的を持ってきた人間には、漁港と市場と、魚を食べる場所がある。

常磐もののヒラメ

夕食は、市内の地魚料理店でコースを頼んだ。

先付に出た常磐のヒラメの薄造りは、皿が見えるほど薄かった。醤油をつけると、脂で少し膜ができる。噛む前から香りが来る。

「今日は浜直送です」と板前が言った。この距離感が、産地で食べることの意味だと思った。

アンコウ料理は冬の名物だ。肝を味噌で和えて、身や皮と一緒に煮た「どぶ汁」は、コラーゲンと旨みが凝縮している。これをいわきの地酒と合わせると、冬の福島を飲んでいる感覚になる。

地酒——又兵衛

いわきを代表する日本酒のひとつが「又兵衛」だ。有賀醸造が造る辛口の酒で、魚との相性がいい。食中酒として設計されており、料理の邪魔をしない。

同行者なしで飲む地酒には、それだけの意味が宿る。誰かに説明しなくていい。土地の酒が、土地の魚を引き立てている、その事実だけを味わう。

独自性という価値

なぜいわきなのか、と人に聞かれることがある。

仙台牛タン、山形芋煮、宮城かきのような「わかりやすい郷土料理」がいわきにはない。だが「常磐もの」という産地ブランドと、それを守ってきた漁師の歴史は、他の場所では代替できない。

わかりにくい場所にある、本物の食材——それを探すことが旅の醍醐味だと思う人に、いわきは向いている。


いわきアクセス・参考情報

  • JR常磐線:東京(品川)から特急ひたち約2時間
  • 市内の地魚が食べられる場所:小名浜港周辺の食堂・料理店
  • 観光協会:https://kankou-iwaki.or.jp
  • 又兵衛(有賀醸造):いわき市内のスーパー・酒店で購入可
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